この愛に満ちる星たちへ/オダカズヒコ
てきて
ポツリポツリと雨が降り出す
手を離すと
ふたりは離れ離れに
はぐれてしまいそうな気がして
サンドイッチみたいに肩を寄せ合い
傘を立てた
スクランブル交差点をすり抜け
街の頭上でヘリコプターの音がする
世界にぎゅっと詰まった力が
体中に押し寄せる
この星に愛が生んだ奇跡だと
ジンと体の奥で感じる
「海まで行ける」って
そう 耳元をそばだてる彼女の声と
ブラウスの袖をまくる
体温の弾んだ感触
僕らは街と海を結びつける
グレイの瞳を奥に引き締め
それぞれの職場に向かう
ワイングラスに
時の甘い声を響かせるような
ローヒールの彼女の足取り
街は恋人たちを遠回りさせ
孤独に押し込み 外の世界を
明るく照らし出す
それが僕らが生まれるずっと以前から
なにひとつ変わりやしなかった
ただ一つの メッセージ
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