S姉さん/あおい満月
人と会話をするのだが、S姉さんは違った。まるで昔からの知人のように話してくれた。Kの話以外でも、洋服の話や、昔書いていた詩の話、恋人の話、S姉さんの話は夜空の星座のように煌めいていた。しかし、そんな日々はそうは長く続かなかった。ある日のKのライヴのとき、京都からやって来たTという5歳年上の男性と私たちは知り合った。
私もS姉さんも好感を持った。S姉さんは、Tに特別な感情を持っていることは何となくわかっていた。それから私とS姉さんとTの付き合いが始まった。夏休みにはTが京都から遥々やってきて、三人でもんじゃ焼きやステーキを食べたり、Tから盛んにCというバンドの希少なデモテープやポスターやCDが
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