帰り途/葉leaf
目に映る風景と
もはや言葉を交換できない
私は風景から情緒を受け取らず
風景も私によって何も証明されない
風景は完膚なきまで破壊されていて
私の視線もその破壊を継続するのみだ
目に映らないものが
正しくて優れているように
風景とは騙し合いが繰り返され
差した傘の頭上でのみ
私は外界とコミュニケートできる
これだけ破壊されたコレスポンダンスも
この雨雲の上ならすべてやり直せそうで
空の尽きせない軽みとだけ
正しく言葉のやり取りができ
親しい情緒のやり取りができる
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