記憶 忘却/
凍月
て
もう欲しくない
忘れたく無い全てが消える裏で
忘れたい全てが積み重なる悲劇
あなたと別れたあの日が
夜の暗闇から浮き出るようで
踏切を蹂躙する電車の音さえ
薄れるように
はっきりと鮮明に
あの時の出来事が
思い出されていく苦しみ
こんなにも記憶が悲しいだなんて
そうだった
あの日も確か
こんな風に墨で塗りたくったような
そんな夜だったんだ
忘却/記憶
どちらもこんなに悲しいものなら
どちらも捨ててしまいたい
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