間近な彼方/ホロウ・シカエルボク
 
したから
もう
手紙も
届かない


海岸線を走る車が増え始めて
エンジンの回転のせいで外気温が上昇する
滲み始めた汗は、だけど
季節を速送る風にたちまちさらわれていく
様々な感情がゼロに戻されて
自動販売機で買った飲物を
これまでよりもほんの少し冷たいと感じる


どんな名前も付けられない
そんな景色が
なぜか立ち去り難く
つま先は頻繁にあちこちに向き直り
なぜ
いつも
二度と見られないような気がするのだろう
いつだってこんなふうに
ここに立っていたのに


靴を脱ぎ
波打際に立つと
波がすくっていく足元を
子供のころよりも怖いと思った



夏が終わる











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