階段/
あおい満月
目を開けると、
見たことのない場所にいる。
スポットライトが当たっている、
古びた夜の工場。
有刺鉄線がぎらついている。
足下に落ちている、
硝子のようなものの
破片を拾った。
その刹那、
手のひらを切った。
痛みはなかった。
血は、
空を持たない星になって浮かび上がった。
***
演じるのは簡単だが
見破られたら、
ただの虚しいマイムにかわる
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