皿まわし狂言地獄/ただのみきや
 
いるようで
どうにもやり切れなくなって
水道水の涙 軽石の頬
何もかも嫌になって
架空の皿をまわし損ねて
割ったふり
ついでに透明ロープで
首を括ったふり
虚空に架空がブラブラすると
かつてないほどの大喝采
やがて拍手は羽ばたく鳥の群となり
絵柄みたいに紅い空をぐるぐると
廻り 廻る いま 頭の中ゆっくりと
軌道を外れ 落ちて往く 一枚の

――皿が割れた!
まわす皿はもうない
みんな落として……



     《皿まわし狂言地獄:2015年4月29日》




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