認識しないまま知り続ける/ホロウ・シカエルボク
さ、おまえは人生を確かに生きているか、おまえの足元は確かか、おまえはくだらない場所に溶け込もうとしていないか、くだらない人間にまともに取り合おうとしていないか、足元の確かさを愛せよ、それを求める心を愛せよ、求め続ける心を、穏やかな夜のために騒ぎ続けるこころを、愛せよ
夜が更け、道を歩く連中の声や足音がまばらになってくるころに雨は止んだ、おれは壊れ始めた椅子に疲れた身体を預けて、やろうと思っていたことはすべてやった、問いかけは繰り返され続ける、おれがおれたる所以、この場所にいる所以、いろいろな場所に立って、たったひとつの場所を見ている、生まれたときからずっと、見張塔からずっと、まだずっと鳴り続ける鼓動に一番近い地点を
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