札幌煉瓦通りにて/
イナエ
街路樹の緑が色濃くなる刻
敷き詰められた赤い煉瓦に
バイオレットの紗が降りる
黒いヒールがコッコッと音を立て
街路に照らし出されて
白いコントラバスが歩いて行く
コントラバスから延びる足が煉瓦に消え
黒いヒールがリズムを残して
夕闇の中に溶けていく
白いコントラバスは紫色に染まって
次第に小さくなりながら
何時までも揺れている
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