夜更けの紙相撲・静かなお盆/そらの珊瑚
 
だろうか。
私というひとりの存在の中には無数の偶数の人間がいて、そうやって繋がれてきた命が自分という肉体を作っていることに、手を合わせる。
死ぬということは祈られる側で、生きているということは祈る側だと思っていたが、もしかしてそんなふうにきっぱりと線引きできる世界ではなく、死んだあとも手を合わせているだろうし、人の中で生き続けるものではないだろうか。

もう誰も住まなくなった夫の実家の仏壇に、義父母の写真が並んでいた。



[グループ]
戻る   Point(10)