夜更けの紙相撲・静かなお盆/そらの珊瑚
だろうか。
私というひとりの存在の中には無数の偶数の人間がいて、そうやって繋がれてきた命が自分という肉体を作っていることに、手を合わせる。
死ぬということは祈られる側で、生きているということは祈る側だと思っていたが、もしかしてそんなふうにきっぱりと線引きできる世界ではなく、死んだあとも手を合わせているだろうし、人の中で生き続けるものではないだろうか。
もう誰も住まなくなった夫の実家の仏壇に、義父母の写真が並んでいた。
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