幽霊は、足跡を残す。/梓ゆい
 
私は、怖い話や怪談が大好きだ。もしかしたら、詩よりも怖い話や怪談が好きだと言っても過言ではない。怪談関係の作家に、怪談史家・小池壮彦(こいけたけひこ)さんと言う方がいる。その怪談を前後の歴史から読み解いて、何があったのかを本にしてきた方だ。この文章の題名も、小池さんの著書から拝借した。
8月ということで、一つ思い出した話がある。せっかくだから書いてみよう。

題・山道

ある家族連れが、ドライブで人里から少し離れた山間部の道を車で走っていた。時刻は夕方、もうすぐくらくなろうかというその時スーツに書類鞄と言う山を歩くには不向きな服装をした男性が歩いているのが見えた。何で、こんな所を歩いてい
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