月の民/dopp
アインは空を見上げていました。小高い丘にぽつんとたたずむ木の根元に腰掛け、紫がかった星空を見つめていました。
星々は輝き、それぞれが淡い虹色の光を落とし、仲間たちの上げる炊煙から離れてきたアインの影を、薄く彩りました。
アインは月の民でした。自分たちが一体どれほどの数存在しているのか、アインも数えたことはありませんでした。時折増え、時折減りながら、一緒になってさまよい歩くひとびとでした。この間は、陽が沈む頃にニクスがすっと立ち上がって遠くの闇、地平線をじっと睨みつけたかと思うと、黙って歩いて行きました。ヨナとリクトは、一つ前の街でアインのセンセイに拾われた子供達でした。そういう風に減ったり
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