判定/為平 澪
ユニットバスの水平さの隅で
私は猫の目になる前の棒っ切れ
コンドームたちの密会を
五秒の使用と三分で決定させる
男と女の待ち合わせ
不在の子の存在を 赤い視線で映してみせても
喜んでくれる人より、しくじった、と、棄てられる先は
コンドームと同じゴミの中
ナプキンやタンポンより役立たず
コンドームみたいに便利じゃない
のに、私を欲しがる、人たちは
絶対零度の淋しさの、いち、より、
不安と期待の二乗、を繰り広げ
ドラックストアーで私を連れ去る
ユニットバスの冷たさに 抗う私の体温が
世界の不在を 二分する
放置された暗闇で 血眼になってく赤い筋
見開いたままの猫の目が
都会の茂みを 裁きつづける
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