漂う墓標/塔野夏子
 
あたりは仄暗い

無数の墓標たちが漂っている

言葉たちが 沈黙の淵へと沈み溶けてゆく

悼み 祈り 鎮め

どんな言葉も私は選び掬い取れない

ただ この沈黙の淵から

いつか何かがしずかに浮かびあがるのを

待つ それならあるいは

できるかもしれない

いずれにせよ 私は此処に居る

あたりは仄暗い

無数の墓標たちが漂っている




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