譫言/kaz.
 
てしまったフォルム、しゃがみ込み狂ったような叫び声をあげる従業員たち、一塊になって彼らに石を投げる民衆、つまりそういうものだったわけです。そこに我々が現れたのですから、それこそ僕とラグラージは神様みたいに見えたのではないでしょうか。
そして、僕らが空中を半回転して飲み込まれた水の底から出てきたときの心境というのは、信じていたものに裏切られたときの心境に似ている気がします。戦うべき対象があったのに、突然参上した神様的存在には、戸惑うしかありません。そして、その状態というのはめちゃくちゃに混乱している状態ですから、誰かが「あいつらだ、あいつらが溺れるのが悪いんだ」などとほざきやがった場合には、やはり何も悪いことはしていないとしても、民衆の攻撃の対象は僕らに向かい、たちまち空中にていくつもの石玉を浴びて、元の水の中に落ちていきました。少し悲しかったのが、その石を投げた民衆の中に、あのラグラージの持ち主である男の子がいたということでしょう。彼は本当に最愛のポケモンを失ったのでしょうか?思いが錯乱する中、僕らの意識も水の渦の内に、再び沈んでいきました。
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