「あるところに、帰るところはあるけど孤独な人がいました」/モリマサ公
 

家は遠かった
何回も何回も蛇口をひねる
供給されるわたしたちの水
腐らないよこの水
なまぬるいよこの水
母親の声がしているきがする
腐りそうなつめたい野菜をずっと見ている
チャンスなんてなかった
産まれてきてからずっと。
父親の声がするきがする
包丁はのんびりと茎や葉を細かくしていく
人間だからね
平気 平気 平気
水中眼鏡
スケートパーク
スポークンワーズ
戦争
そう言えば誰でも納得
歓声があがる
血でかいた文字にモザイクがかかって
近所のモールで花が咲き乱れている
ゲリラ豪雨と竜巻の予報が流れている
必死で生きててごめんね
が大粒の雨にあたってくだけていく
わたしたちは壊れやすいようにできている
「あるところに、帰るところはあるけど孤独な人がいました」
パーツはいくらでもあるから
平気 平気 平気




 
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