笑いの刑/ただのみきや
 
雨が降り始めた
何処で これ以上 笑えばいい
景色の感覚を剥ぎ取られて
白い足の子供たちが
死の石と兎の上を
水蜜のように歩いた
さらわれてしまう耳目
暗渠から招く文字のうねり
疑問と交配する
蝸牛のようなキスで
熟れていた とっくに
皮を剥いて頬張る
どこまでも甘い涙


坂を転がり道はゆっくりと
右に消えて
遠く辿る 瞳の 立ち尽くす
海の溢れが 繰り返した
潮騒の人形
溺れるはらわたの
すっぱい原石
鮮やかすぎてネガになる
夏の飛行の変死体


重ねた素足の 舳にしがみつく
サンダルが 力尽きて
光と泡が思考を冷却し
料理される 沈黙
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