ケツカッチン/nemaru
 
電車のドア窓から行く方ばかり見てる。もし後ろを見てるひとがいたら、それはそれで「なんなんだろう」と考えてしまう。運んでいる。ひつまぶしの成り立ちを思い出す。ひとはホットなまま冷めてることができる。届ける。家路から続くオセロが、黒にひっくり返りながらパタパタパタと追っかけてきて、さも今までが白だったかのように錯覚する。どうせ嘘だろ。灰色がかった雲間からさす黄色い光が大阪のビルに降り注ぎ、乳首のように憂鬱に見える。イッツァビッグシティ。ホーガンみたいな男が耳元でささやき、イッツァソニーもついでにいわせる。そうでなきゃいけない。このままモード学園にでも行きそうだが、それは彼等。名もないアパートの住所は嫌
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