無題の完成/坂之上放肆
室温三十五度の中を詩を書き続ける俺に
吹き付ける扇風機の風がただひたすら邪魔
この狂ったようなアタマのうだった灼熱
これがもたらすサイケデリックのような快感
MacBookもゆだってキーを叩く指を焼く
気温は熱に引力させられる石のように暑くなる
三十六度になってもまだ存在する俺はどうしたらいい
体温以上になったら俺は扇風機の風と共に消えるのだろうか
しかしこの詩作も今や友人の忠告もあり
冷気の漂う部屋へと移動したところ
父の殺虫剤を散布する音響を隣室に置き
この部屋に轟音するSyrup16gに言葉を奪われまいとし
また鬱気がやって来るのかと不安に駆られしも続く
さらにこの詩作の翌日である今日まで続いているのが狂おしい
仕方ない
もう冒頭の一行の時と環境も気分も変わってしまった
この詩は続くことは出来ない
未完とするべきだがそうとはせず
この時点で完成とする
未完の完成
これにより意味も全く違うどころか無意味にすらなりかねない
それを選んだ俺が今ここで生きているのが論より証拠だ
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