終点/コハル
一切風が通らない部屋で息を乱していた
スチールデスクには埃が湿気を含み固まっている
東南アジアで押し付けられた色鮮やかな花器は
様々な銘柄の吸殻が横たわる墓地として
ただただ存在する いずれは消滅する
革張りのソファーはあまりに劣化し
末期病患者の皮膚を連想させた
何より空間の圧力を高め、また酸素を奪っている輩は
生前の祖父から受け継いだ夥しい文字の集積体
平たく言えば書物の山だ、こいつらがいけない
まとめて処分してやりたいが
生憎この部屋から一歩も外へ出られない
私の人生は何かが良くなかった
だが、その何かに気づいてしまったら、それこそ野暮だと
お気楽な脳味噌は気
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