花火の日、幸福燃え落ちる、温かな爆弾のように/ホロウ・シカエルボク
ているものに正解など無い、すでに定義づけられているものに、ひとりの人間に沿うものなどありはしない、当たり前のことじゃないか?どうしてそんなものがないがしろにされてしまうのだ…?花火が空で破裂する、祭りが始まったのだ、打ち上げ会場から程近いこの家は、破裂音と共に壁が振動する、幸福を装う戦争が始まったのだ、窓を開けてはならない、あの花火を眺めてはならないよ、偽の幸せを植えつけられてしまうよ―どうしても見たいというのなら、ほんの少しだけ窓を開けて、カーテンに隠れながら見るのだよ、彼らに見つからないように…俺は老婆の声を真似て、たったひとりでそんなコメディを演じてみる、クスリとも笑えやしない…やれやれ、と俺はため息をつく、そんなやつらを見過ぎたのだ、騙されて、鵜呑みにして、信じすぎたやつら…信じて、信じ込んできた自分を、誇らしく感じている、そんなやつらを……
戻る 編 削 Point(1)