AN ORANGE COLOR BAG/梼瀬チカ
私はオレンジ色のバッグを持っている
私は眠っている
私はオレンジ色のバッグを持っている
私は夢を見ている
私はオレンジ色のバッグを持っている
私は夢の中にいる
若い男が私に言う
「それ、救命用の救急バッグでしょう?」
欲しかったんだなあ。」
「そうなの?」
私はオレンジ色のバッグを触りながら言う
「欲しいなあ。お金はらうからさあ
くれないかなあ。」
私はオレンジ色のバッグを両手に抱えながら
「イヤよ!」
とはねつける
「じゃあ、せめて中見せてよ。見るぐらいいいでしょ?」
そう言えば中を開けていない
私も見ていない
急に好奇心が芽生えて来て
私はオレンジ色
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