船出/しもつき七
 

宝箱をひっくりかえして目をつぶした
こんなものいらないよときみは
話し声





かわりはてた明るみのなかで、まだやわらかい、幼い死体があって、
女の子で、桜貝みたいな爪に土、こわくなって逃げた、ぼくは、ぼ
くが殺したわけじゃない、撲って、絞めて、そんな恐ろしいこと



朝食の時間だった。たべられる魚は泳いでいなかった。きみの肌と
おなじ色をした果物を齧って、図書室から盗んできた本を紐解く、
悪いことをすれば物語になれるというのは師の教えでした



きらきらの瞳
だけどきみが輝かせているわけじゃない瞳
血と水と偶然の効果
それだけ


他人だけがきみの味方
さわやかな言葉がただの旅をかざっていく
かつて宝石だった光を空に返して
やっぱりふたつの目はかがやく



ジュール・ヴェルヌの小説みたいです。冒険は終わらない、何度で
もめくられて、匂いのない、ただの古い紙になってしまっても、秘
密はずっとそこにあって、ばれないように震えている、風に舞って、

太陽が顔をだす!




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