かたっぽ/nemaru
 
コンビニをのがしてから
ひとけのない
やまあいの国道をずいぶん走った。

自販機のある消防分団の横にとめ
ポカリを買って
その場で少しだけ飲んだ。

隣家の枯れた生け垣の中に見える
ピンク色が気になったので
キャップを締めながら覗き込んだ。

手袋。
しかもかたっぽだけ。

また走った。



たまに
ちいさな靴のかたっぽが道端に落ちている。

事件性のない
さみしくもない
自分と重ねるにも微妙で
子どもの思い入れもないような。

かたっぽに哀愁がこもらない。
不透明な社会だと形容するほど大げさな話でもない。

埋め合わされて
入り込む余地がない。
再生能力が高い。
案ずる必要もない。



第一村人発見!
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