十年の悪夢/莉音
科書が使われるようになった』この10年で起こったことのすべてである。
戦争は、近い未来の現実になった。そして、人々がそんな政府に諦めてついていく、恐ろしい時代になった。政府が望むなら仕方がないと、安保法と名を変えた戦争法も、刑事訴訟法と名を変えた盗聴法も、秘密保護法となった治安維持法も、全て現実になった。
全てが変わってしまった。私は今も、悪夢の中にいて、いつかこの夢が醒めると絶望的に祈っているのだ。長くつらい十年だった。
十年前に書いた楽譜が、本棚で崩れかけていた。私はそれを読み返した。ああ、まだ子供だったなあと私は思った。いまだ私が綿々と書き続けている、終わりのない楽譜だけが、この十年が夢ではないと語っていた。
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