十年の悪夢/莉音
った。
あれから十年経った、私にとっては長く、悪夢としか思えない十年だった。十年前に思い描いた未来とは、全く違う場所に私はいた。
私はまだ二十代の半ばにも至らないのに、不治の病を患ってしまった。中学でも高校でも、誰ともなじめなかった。景気は悪化の一途を辿り、私は夢を諦めた。政治は混迷を極める一方で、気づけば独裁政権が牛耳っていて、それを国民は反発もせずに、諦めながら聞き入れていた。独裁者は、憲法を守らなくてもいいと言い始めた。独裁者は、私が首相なのだから正しいと言い始めた。それでも国民にとっては他人事で、誰も彼もこの独裁者を支持していた。
インターネットは、あ
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