外側への境界/水素
僕はいつも余所見をしていた
視線の先には他人がいる
それは
嫉妬、恐怖、潮流に乗る時の合図
そのどれもが、自ら発したものではない
普遍的なものを意識した時に、現れる巨大な影
そのどれもが、僕の影ではない
そのどれもが、一つの影ではない
本当に多量の影が集まっている
形を崩さないように注意深く進む
今、全体が何処に居るかを見ている
それは集団の機能、記録の働き
どうしても遅く、
ぶつかり合い、せめぎ合い、重なり合う
それは集団より個が早いから
機敏さが犠牲になっている証拠
旋回でどうにかなるものではない
ルートを予め決めて行けるのは、外周を決める影たち
折り合いを
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