船旅/ただのみきや
はいる
理論家に演説家
ヤクザな輩も事欠かない
自称「法の番人」も
大多数は無気力者
鬱の者たち
あとは日々をいかに楽しむか
パーティーマニアを粋に着こなした
自死に焦がれる蒼い灰だ
時折 船から姿を消す者がいる
何処とも言い難い海域に飛び込んで
事故死や自然死あるいは病死でも
死者は海へと流される
死んでから人手で流されるか
死ぬ前に自分で身を投げるか
そこにどれほど違いがあるか
答えは自分で出さなければならない
誰かに決めてほしい連中は
今夜も何処かの船室のドアを叩き
占いとモノポリーに興じている
海を漂う手紙を詰めた壜を
網で引き上げ
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