ばらばら。/梓ゆい
 
青い陶器に詰まった白い骨

その欠片を一つつまんで
ぎゅーっ。と握り締める。

すぐに崩れ落ちた手のひらの欠片は
流れ落ちるはずの涙に代わり
手のひらの上で水滴のように散らばった。

(小さくなりすぎて、それが何処の部分かが解からない。)

押し込まれて/詰め込まれて
何処に何があるのかが解からない。

「お父さん。お父さん。」

陶器の入り口に顔を近づけて
何度も何度も話し掛ける。

寒い寒い夕暮れ時
玄関の戸を開けるような音がして

もう聞こえない「ただいまに。」向かい
「お帰りなさい。」と呼びかけた。

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