ひざまずく麓に/たけし
 
暗闇迫り
バタフライ飛び回る
紫と黄の鱗粉を撒き散らし
なんて美しいのだろう
どうして誰も気付かないのだろう

誰も居ないからだ
衣を剥がされ
さ迷う誰も

喧騒の街と悲鳴の肉
の裂け目に
深い深い淵
横たわる
響響響
私が私を失っていく時ですら、
遠い世界の骨格は潮騒響かせ律動し
鉄のシの必然を貫く

無数の声を呑み込みながら
この世界をいずれ光で充たすために

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