過去の雨/葉leaf
 



真夏の炎天下に自転車をこぐ
すべては明るすぎて却って曖昧に
すべては熱すぎて却って柔弱に
こんな快晴の日だが
ひたすら過去の雨が私を打つ
水ですらなく重さもない
透明な過去の雨が激しく降ってくる
これまで辿ってきた体験が
内容を抜き取られてひたすら雨滴となる
私はこれだけの量の過去を通過し
そしていまこれらの過去の先端にいる
私の人生が強く降り注いでいる
人生の深淵が雨を振り絞っている
そして私は再び快晴の夏へ
光と熱でいっぱいの明るい夏の日へ
過去をもう一度生きた人間として
遠い歌に耳を傾けながら

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