あとがき/
宣隆
本を閉じるように
重なり合って
行間を埋めただけの
「愛してる」の言葉
夜が明けるまでには
また恋に書き上げた
ただ淋しかった
ただ満たされたかった
ただ逃げたかった
駄目なのは知っていた
でも引き返せなかった
最後のページは
読めないように
朝の雑踏に
馴染むように消えた
そして二人は
それを「過ち」
とは名付けずに
それを「優しさ」
と名付けた
あとがきには
「今夜いつもの場所」
とだけ書き込んで
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