夏澄/葉leaf
誰の号令だろうか
風景が停止したり開始したりを繰り返している
誰の合図だろうか
些細な感情の波に気付いたり気づかなかったり
社会的には「休暇」と名指されるこの期間
実際は「休暇」を破り捨てて燃やした後のような
かぐわしい煙でいっぱいの時空間
夏は一斉に扉を閉じて
私をこの死んだ風景の中に閉じ込めた
感覚は一斉に眼を閉じて
私は怠惰に時間を貪ることに飽きない
私は何事にも疲労せず傷つかず
思考という長い眠りに就く
目覚めたときには
夏は扉を開き感覚は眼を開き
澄んだ夏の面に一滴の墨汁がたらされ
見る見るうちに夏は混濁していき
刺激に満ちた退屈な夏が始まる
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