チリ散りになったんだけどカメラ目線で/末下りょう
後、地元の新聞記者に話した。エンゾさんは残された水色の壁に手をあて、麦わら帽子をかぶり、自慢の口髭の下に立派なお腹を突き出してカメラ目線で地元記事の一面を飾った。(これじゃー風邪ひいちゃうよ)というコメントとともに。
(出会いと交換によってなにが生み出されるか。それは誰にも予想がつかない。ただ、これまでと異なる多様性が生み出されることだけは確かだ。その多くは新しい環境に対してあまり有利に働くものではないだろう。あるいは有利にも不利にも働かないかもしれない。しかし遺伝子の交換によって、ほんのわずかだけ変化がもたらされることがある。少しだけ乾燥に強い。僅かだけ凍結に耐えられる時間が長い。エネルギー変換の効率がちょっとだけ優れている。 あるいは季節のよいときであってもローカルな環境変化が急激に襲ってくることもあるだろう。その際、シャッフルを受けた遺伝情報の組み合わせからほんの僅かながら、その試練をかいくぐって生き延びる者があればよい。生命は常にその危ういチャンスに賭け、そして流れを止めることなく繋げてきたのである)ー
based on a true story.
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