老いの演繹(九)/
信天翁
濁りを澄ました
女性の立ち話が さざ波を打っている
梅雨明けの 蝉しぐれのなかから
近くの広場からは 時を忘れて
わらべの甲高い嬌声が 渦を巻きあげている
熱中症に 耳傾ける気配もみせずに
いのちと 宇宙を讃美してか 時折
野の鳥が なまった老体を鼓舞してゆく
熱気を切断しての低空飛行で
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