狂咲/竹森
スカートの裾を一枚、縫い合わせて閉じると、追い出された可能性としての空洞が、床に投げだされた他の萎れたスカートを花咲かせてしまうのではないかと、一枚、また一枚と、縫い合わせては閉じていく。鱗みたいな、ね、そうでしょ、だってここに風は吹かない。体内を構成する水分が炭酸水だったらきっと楽しい。カラオケボックスでマラカスだって振っちゃうよ。昨日あの人の失くした消しゴムだって発泡するみたいに私の鞄の中から飛び出ちゃうよ。結婚したいな。その前にチョークが飛んでくるかな。きっと定刻には帰れない。無理やり話した私の秘密、誰にも喋らないでね。傷口からキノコが生い茂るから。絆創膏で唇を閉ざすだけ。振り出しに戻る人、
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