徒歩/dopp
 
汗で濡らした。日陰の中で乾かしながらどこまでも行くのだ。最早目の前には何もなかった。二つ川を越え、その度に橋から飛び降りる事をシミュレートした。ペヤングの容器が美しく浮かんでいた。僕はどんどんハイになっていった。猫だ。猫がいる。今僕の隣に座ったのだ。背中を向けて。かわいい。かわいい。行ってしまった。僕はあの時、細道を結局右折して、鶴見区に辿り着いた。そして生麦駅だった。ゴールだと感じた。死んでもいいと思った。死んだと思った。最高に幸福だった。そうして今ベンチに座って、木の枝を見上げているのだ。

追記 僕は本当に、死なせてくれてありがとうございますと何度も頭の中で晴れやかに呟いていた。
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