流転/MOJO
ゆかないと、その度に引っ越した。引っ越す度に家は小さくなっていった。父親の収入が安定していたから、なんとか外面は保てたが、内情は常に不安定であった。東京電力から電気を止められたこともあった。
母親は五十半ばで倒れた。白血病であった。その際、母親の実家が借金を全額肩代わりしたが、億に近い額だったという。母親は三年の闘病の末、白血病と肺癌の合併症で死んだ。私は、母親は長年に渡る借金のストレスで発病したと考えている。
戦慄した。この私にも母親と同じ血が流れている。母親はある種の狂人で、本来、家族など持つべき人間ではなかったのだ。母親似の私は一生家族を持たずに生きてゆくつもりだが、こういう方針と鬱病との間に因果関係はあるのだろうか。
戻る 編 削 Point(1)