サマータイム/イシダユーリ
しまっているから
大切な腕輪や
ペニスケースが
報われないことを
わかっている
臭いはいつも下から
やってくるの
道のすみにある
食べかけのハンバンガーみたいに
さみしい恋愛だ
荒涼としているリンゴほっぺただ
大切な
ひとり娘のスカートや
大切な
ひとり息子のブリーフが
汚れることが
名誉だから
彼らは明るい色を選ぶ
どこの街も
いまいましいと
都市をめざしては
ここは噴水の中
夢の色は
暗い
ラララ
ラララララ
とてもひどい皮膚病が
踊るキラキラのバーで
ラ ラ
ラ たばこの
けむりの あいまに
ラ ラ ラ
うすい血だけがながれる
外では
足をゆるく曲げて
腕をゆるく投げだした
娘や息子が
風にふかれている
服は乱れて
けれど
靴はちゃんと
はいたままで
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