深く深い霧の中/opus
周りを見渡すと数々の光が見える
例えば、
太陽
例えば、
虹
例えば、
子供の笑い声
君が笑顔で会釈する
長い髪を耳にかける
黄色いボールが
青空に吸い込まれる
それを追いかけ
上から叩く
スマッシュ?
バンッ?
そのどこもかしこに
白い霧が立ち込めている
立ち止まるともう体中が霧に覆われる
霧は周囲を取り囲む
暗闇
周囲は何も見えなくなる
その中でその霧を晴らす方法を考える
策を練る
だが中々霧は晴れない
いや、
段々と濃くなる
段々と
何もかもが
自分の姿すら
思考すら
全てが霧と化す
霧はその姿の幅を広げ
縦横無尽に伸びていく
そこにはたくさんの思念が溢れている
そこには絶望と苦しみが溢れかえっている
ただ、幾ばくかの喜びと求心力も転がっている
しかし、多くは絶望でしかない
手に手が重ねられる
「大丈夫?」
コクリと頷く。
笑顔で。
パソコンから目を離す
湯を沸かす
沸騰するのを待つ
目を閉じる
霧が見える
霧が立ち込めている
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