群青色におはよう/よるのまち
 
は私にもわからない。
これはただの自然の摂理だからだ。

膨大な数の、血液を孕んだ油絵の具達は、遺伝子情報に基づき、
産まれると自分のあるべき場所に行く。
それを毎晩繰り返す私は
油絵の具の女王のようだった。」



ざわつく、ボロアパートの廊下
ぼうっと立つその風貌は
記憶の中の、ワンシーンのようで

波打つ肌の上に
べっとりと散らばる沢山のひらがな
白衣のなかの色は全て
秋の配色で埋め尽くされていた

拡げられた設計図
母胎から取り出された胎児
蹲ったいのち
ちいさな羅列

彼、もしくは彼女の線をなぞる
その先にある立冬
群青色におはよう

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