白鳥央堂詩集『晴れる空よりもうつくしいもの』について/葉leaf
 
ありがとう
記憶しようと想う
忘れてもいいんだから」
そういう歌がありさえすれば
あなたもすぐに歌い終えるさ

そして
幼い
美学者たちの街を
当夜 出ていく

無限の打ち水を追う 唇をぬぐう手の果てに
当夜出ていく
       (「つぐみに訊いた、いくつかの讃歌」)

 さて、白鳥の詩に興味深いのは、詩的な部分と歌詞的な部分、さらには詩的とも歌詞的とも言えない中間的な部分を織り交ぜてくる点だ。引用部の初めの連は歌詞的であるが、第二連は詩と歌詞の中間であり、第三連になると詩的になっている。ところで、詩のコミュニケーション構造と歌詞のコミュニケーション構造はだいぶ違っ
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