六月回廊/ただのみきや
長い雨のレースを開けて
六月の陽射しが顏を出す
反射して散らばる子供たち
ビー玉みたいに素早く駆けて
ひとり離れて
シロツメクサを編む
首の細い少年
意識されることもなく
満ちて行く
やわらかな魂籠
いま永眠しようとする
あれは誰の幼心
交じり 滲む
かぜ ひかり みどり
自分とは
誰の夢か
韻を踏むように
交差し 尚も
乾くことのない油絵
少年は去った
他の子供たちと一緒に
騒ぎながら自分の絵の中へ
時間に立ち返るわたしも
傾いた光の額縁へ
だが見えないものを抱いている
現実が心象となり
心象が現実となる
くっきりと混じり合う境界
燃え上るカンバスの奥深く
小さな誰かの後姿
《六月回廊:2015年6月13日》
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