しゃく・なげ子さん/藤鈴呼
杓子定規には行かぬ出来事を吸い込んで
花びらは 大きく開き 空に染まる
微妙な空気感も 四方山話も 飲み込んで
幹は 太く 伸びて行くけれど
もう これ以上は 勘弁して下さいと
一瞬 苦しげな 表情が 浮かんだ
氷上の天使
表情筋の活用が 出来ぬ季節
強張る頬の理由を
冬に かこつけた
私の春は 何時やって来ますかと
白衣の先生に 尋ねれば
もう あなた はるですよ などと
頓珍漢な 回答ばかりが 押し返される
少しずつ 擦り寄る花びらが
おしくらまんじゅうを 繰り返す
間引いて下さい
幹だけじゃあ 足りないのです
わたくしに
もっ
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