三つの部屋/竹森
ているわ」。僕が答える、「じゃあ一体どうしろっていうんだ」。0と1を繰り返す会話。まるでデジタルのディスプレイ。君を驚かせようと冷蔵庫に隠しておいたビデオ。そのビデオには何一つ録画されてなどいやしない。「でもまたすぐに来るよ、何がって―――」「嵐が、でしょ?」テレビの画面の向こうでは、クマが産みの苦しみにもだえている・・・筈だ。その筈だ。「出産の瞬間だけ映像をアニメーションに差し替えてあげれば、産みの苦しみもきっと少しは和らぐんじゃないのかなぁ・・・でもそれは、ちょっと違う、か・・・」そう言った君は目を閉じて、眠れない僕を置いて、今にもどこかへ行ってしまう。「愛してるよ」「嘘ばっかり」「ほんとうさ
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