わたしが詩の中で掻き抱くあなたは/ただのみきや
 
朝陽から刈り取って食卓に供えられた獅子の首
金色は瞬く間にとけて白い皿に蒼く翳りを残す

あるいは初めから造られなかったニケの頭部
永遠に像を持たない神聖 あらゆる問であり答え

あなたは言葉ではない 鋸で引かれ火炙りにされて
人はあなた殺すが残された死体は常にあなたではない

胸に顏を埋め魂の内側を柔らかく噛んで 不意に
激しく引いてわたしを裏返す 唇の毒が無意識を呼び覚ます

あなたの髪の匂いを知っているたとえ白い蝶になっても
老いた娼婦の姿でも一筋の光の旋律として訪れても

わたしの恋を吹き消したあなたは嫉妬深い神殿の空白
地と日の果てを彷徨うわたしは盲目にも
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