小さな 五つの詩篇/山人
いぞと雲に隠れた
宇宙の外側に顔を出すと
またそこは宇宙だった
果てしないんだなぁ
宇宙って
僕はそう言って
息を吐き出すと
きらきらと
流星雲となって
空へ伸びていった
四
午後の重みに しなだれた校舎から
飛び出したキャンディのようにチャイムが鳴る
太陽は後ろ向きになり
角ばった校舎は
ためいきとともに丸くなる
砂山が崩れると
ハンドスコップがことりと倒れ
ひかりは赤く染まり
川となって
町を流れてゆく
五
老人がベンチシートに並んでいるのだ
昔はたぶん女だった
男だった
今は老人だ
人生なんて そんなもの
皺皺に閉じ込めて
ホッチキスでとめている
そんなもんがあったんかい
それでも老人
剣を持ち
戦車を引き
戦いを挑んでいる
この世で一番相手にされないのに
それを苦にするでもなく
悟りきった戦士のように
今日も
乾いた脳で思考し
味の無い舌でまくし立てる
皺皺の老人
殺されても生きろ
燃やされる前に何か叫べ!
目の前の医者に噛みつけ!
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