星合/あおば
刀だけがいつまでも半円を描いている
これは幻覚ではないのだろうかと
自問自答しながら、磯の巨石に座る
この位置ならば星々も良く見えるのだ
虚像のように聳える松ノ木が不動の座標を
与えているのだが、やる気の無い世界には
ただの松ノ木に見えるようで
眺望を妨げるから切ってしまえの声も聞こえる
なんという理不尽なことだ不動明王に言いつけてやると
僕は毎日思うのだけど
スカートを穿いた青竜刀が怖くて、
星空の見える海岸まで出かける
勇気が無いのです
翌朝
気の弱い流れの果ての巨岩を砕く重機の唸りだけが
枕元まで聞こえてくるというのに
ひとりだけでメロンを食べているのはなんと
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