包み込む手のひらから/深水遊脚
 
ょう
とでも言いたげな目をするのだ

真剣になりすぎて
誰にも会いたくないとき
憎悪を憎悪のまま書き出してみると
それをそのまま目に見える形で示してくれる
鏡のなかの自分が自分でないと
言い張るようなときはとうに過ぎ去って
私も私の吐き出したものをじっと見つめる
それでもあまり重ねるつもりはないだろうと
理解してかしないでか
つるりと消えては現れて
別の何かを私に気づけと促す
正しさは嫌いだけれど
私の正義感の主張につい付き合わせてしまう
文句を言ってもいいのに何も言わない
もうあなたで最後だったかもしれない
こんなに忍耐強く待ってくれる存在は

我慢は美徳
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