自称詩人の飛び降り/花形新次
自称詩人がマンションの
12階から飛び降りて死んだ
ドスンという物音を聞いた管理人が
植え込みに倒れている
自称詩人を見つけた
自称詩人が飛び降りた
12階の踊り場には
遺書らしき
便箋が置いてあった
便箋には
こんなことが書いてあった
「Free bird」
自由な鳥は自由に飛ぶ
きっと太陽にだって近づける
黒い翼は陽を集め
今にも燃えそうだというのに!
自由な鳥は
真っ白な灰に燃え尽きたとしても
あるいは
程好く焼けて
イオンで一本150円で売られることになっても
決して飛び続けることを止めない
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